加齢黄斑変性
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、加齢によって、脈絡膜から新生血管が網膜内に侵入し、黄斑(おうはん)を障害します。黄斑の障害は視界の見え方の悪さ(視力低下、歪みなど)に直結してしまいます。原因は加齢で、日本人の平均寿命が長いことなども、患者数増加の原因として挙げられています。また、喫煙や栄養状態、また遺伝(英語論文5)との関係が報告されています。
光は屈折して眼の中に入ると、網膜の中心部である黄斑部(おうはんぶ)に集まる。黄色く見えるのはこの部分にキサントフィルという黄色の色素が多いため。黄斑の中心には中心窩があり、視細胞が最もきめ細かく配置されている場所であり、視野のなかで最も解像度がよい部分である。
視細胞には明るさに鋭敏な桿体細胞と、色彩に鋭敏な錐体細胞とがあり、黄斑では錐体細胞の密度が高い。このため、見ているものの形や色彩をはっきり見分けることができ、視力の中心的機能を担う。
滲出型加齢黄斑変性では新生血管が黄斑部周囲の網膜の下の発生し、この新生血管から液性成分が漏出や出血することが、病気の本体になります。この新生血管につよく関与しているのが、VEGFという眼内の因子で、現在の治療の主体が抗VEGF療法の理由です。
光干渉断層系(OCT)とは、2000年頃から眼科でよく使われている機械で、患者さんにほとんど負担をかけずに、0.01mmレベルの解像度で膜の断面図を繰り返し撮影し、その病気の本質に迫れる、非常に画期的な検査です。(英語論文3..6.10)
加齢黄斑変性において主たる治療になります。
抗VEGF薬とは新生血管の説明にでてきたVEGFの働きを抑える薬剤で、これを眼内に注射することで、新生血管からの漏れを抑え、病気の活動性を抑えることを目指します。この治療は、硝子体注射という方法で行われます。
非常にいい方法ですが、再発も非常に多い病気で、継続的に治療を行う場合がほとんどなのが現状です。また問題は、再発してから治療を行うやり方では、視力がだんだんと下がる場合が多いことで、再発する前の治療の(プロアクテブな治療)が重要と考えられています。
この治療では、特定の波長の光を吸収する薬剤を体内に注射し、その物質が新生血管に集まることで構成されています。その後、遠赤外線レーザー光線を照射してエネルギーを発生させて、新生血管を破壊します。
この方法は、比較的以前からある治療法で、現在は、抗VEGF薬との併用療法で使用します。近年は、抗VEGF治療回数の軽減できる、日本人に多い病型(PCV)に効果がある、難治例などにも効果がある、など、その有用性が再認識されています。ただ、当院では行えないので、必要がある場合には連携病院にて治療します。
タバコに含まれるニコチンが新生血管の増殖と血管漏出を促進することがわかっています。そのため加齢黄斑変性では禁煙は重要になると考えられます。
また、喫煙以外にも食生活の欧米化による、「高脂肪食」の増加と加齢黄斑変性発症との関係性も指摘されています。
生活上は禁煙やバランスの取れた食事を心がけることが加齢黄斑変性の予防に役立ちます。