
眼瞼下垂
眼瞼下垂
眼瞼下垂とは眼瞼縁が下がることで整容的(見た目}そして視機能的(見え方)に問題がおきる疾患です。
生まれつき(先天性)の場合と年を取ってから発症(後天性)の場合があり、年を取ってから発症する眼瞼下垂の原因としては、加齢性か、ハードコンタクトレンズの長期使用がほとんどであります。
眼瞼下垂では、「上方視野が狭くなった感じがする」、「うっとおしい」などの症状が出ますが、これは「まぶたが下がる」ことで視野が障害されています。
図は正常視野と比較して、眼瞼下垂での視野を黄色の線で囲み表しています。上方の視野は30度以上狭くなることも多く、また側方の視野も障害されていることが特徴になります。
また眼瞼下垂により瞳孔に入る光量の問題からコントラスト(明暗のはっきり度)が障害されることも多く報告されています。
そのため、手術加療による眼瞼挙上は、患者にとって「生活の質」や「見え方の質」の改善をもたらすことが多くあります。「明るくなった」や「広くなった」という感想が多くいただきます。
当院では上記のように眼瞼下垂が「見え方の質」に影響すると考えられた場合、眼瞼挙上により視機能が改善することが予想される場合に、当院の眼瞼下垂適応として手術を行っています。
眼瞼下垂の治療には、現在、点眼治療も研究されていますが、根本的な解決策となるのは眼瞼下垂手術となります。
手術は「まぶたの皮膚のあまりの切除」と「実際にまぶたを上げる手術」に分かれ、それらを組み合わせて手術を行います。
眼瞼下垂ではデザインが非常に大事です。手術前にデザインを行います
点眼麻酔と皮下麻酔を組み合わせて痛みを抑えます。
眼瞼下垂になると、図Aのように、皮膚があまり覆いかぶさることで眼瞼が下がってしまっているような状態と図Bのように真のまぶたのラインが下がっている状態の、どちらか、もしくはその両方を認めます。
Aの眼瞼皮膚弛緩症(真のまぶたのラインが下がってない場合)は、眉の下で切開します。この場合にはまぶたの形はもとの形に近いことが多いです。
Bの眼瞼下垂(真のまぶたのラインが下がってる場合)でかつ皮膚弛緩症がある場合にはまぶたの上で切開します。この場合には新しい二重が作成されます。
真のまぶたが下がっている場合には、ミューラー筋の短縮を行います。
ミュラー筋とはまぶたを持ち上げるためにゴムのような働きをしている筋肉です。下がった眼瞼を上げるために、この筋肉を短縮してゴムの収縮力を改善する方法になります。
自然な仕上がりになるように術中に調整しながら上げていきます。この調整が手術の肝になります。
術後1週間程度は内出血、1か月程度は軽い腫れが続くことがあります。
強い眼瞼下垂の場合や術前より大きな左右差がある場合やなどでは、挙上が不十分であったり、軽度の左右差が残ったりするがあります。また数年後の再発の可能性もありますので、医師と十分にご相談ください。
術後当日は入浴や洗顔を控え、翌々日から洗顔・洗髪が可能です。
抗凝固薬(サラサラの薬)を飲んでいる場合は術後出血の問題がありますので、必ず医師にお伝えください。