緑内障
緑内障
眼底の視細胞で受けた情報は脳におくるために、眼底には約120万本の網膜神経線維が張り巡り、この神経線繊維は視神経乳乳頭から眼外へ出ていきます。
この神経線維が視神経乳頭で障害されるのが緑内障です。
視神経乳頭では神経線維が眼圧や血流などが原因が障害・断線され、この断線された神経線維領域に対応する視野が障害されます。
緑内障の検査では視野、視力などの機能評価し、眼圧の管理をすることが重要になります。また隅角所見では眼圧上昇原因の探索、視神経乳頭の評価では緑内障の有無と合わせて出血の有無を確認することが重要です。
緑内障において最も重要な機能検査で、視野(目を動かさないで見える範囲)の広さを調べる検査です。
視野検査を継続的に数年以上行うことで、本当の緑内障の状態・進行具合がわかります。視野検査は半年に一度程度行う場合が多いです。
この視野の変化量と眼圧をもとに、治療を考えていきます。
緑内障の原因は、まだ完全には解明されていませんが、「眼圧を下げると緑内障の進行が遅くなる」というエビデンスは治療において強く、現在も眼圧を下げることが緑内障の治療のほぼ全てとなっています。
眼圧は基本、空気眼圧計で測定し、必要な場合には診察室でも測定します。
眼圧は、眼内の水(房水)がうまく排出できないと眼内に水が溜まり眼圧が高くなるため、その排水溝の状態に眼圧は大きく影響を受けます。
排水溝が狭さや(狭隅角の有無)や排水溝の色調(繊維柱帯の色調)などを調べることで、眼圧上昇の原因の理解や背景にある疾患を鑑別します
点眼麻酔を行った後、専用コンタクトレンズを装着して観察します。
緑内障における眼底検査では、主に視神経乳頭を観察し、その形状(陥凹の程度)、乳頭出血の有無、蒼白色調の有無などを観察します。
緑内障の発症は「視神経乳頭での網膜神経線維の断線」と上記しましたが、その後、断線された網膜神経線維は遠心性にだんだんと薄くなります。この網膜神経線維(RNFL)の厚み視神経乳頭付近で測定することで、緑内障の診断や進行の判断を行います。非常に高い診断率が報告されていて、視野や眼圧と共にとても重要な検査です。 (業績・英語論文1.2参照)
緑内障によって失われた視野や視力、障害された視神経を、元の状態に戻すことはできません。そのため緑内障の治療は、緑内障の進行のスピードを抑えるために行われています。
治療法は主に、点眼を中心とした薬物治療とレーザー治療、手術に分かれます。
治療の中心的な位置づけです。現在は合材(2種類に効果が含まれている)をふくめて様々な種類が出ています。点眼作業の負担がなるべく少なく、より進行予防効果が得られるように、視野の進行を見ながら点眼内容を相談していきましょう。
排水溝である繊維柱帯にレーザーをあてて、房水の排出量を増やす治療です。
比較的ダメージの少ない治療法で、点眼剤と同程度の効果とされていて、早期の導入により点眼本数を減らす目的や、点眼継続が困難な場合などもよい適応として考えられています。
ただ、効果に関してはばらつきもあるとされていますので、相談して治療を決めていきましょう。
(業績・和論文20参照)
当院では緑内障手術に関しては眼内ドレーン挿入術(iStent・アイステント)を施行しています。
眼内ドレーン挿入術(iStent・アイステント)は、線維柱帯(排水溝)に金属製のインプラントを1~2個置くことにより、眼内からの水の流出を促進する方法です。初期から中期の緑内障がよい適応とされている。
この手術の施術は、白内障手術時にのみ挿入することが現在は認可されて、白内障と同時に手術を行います。ただ、術後に一時的な出血をすることが多く、白内障術でも視界がはっきりするのに1週間ほどかかる場合が多いです。
強い眼圧上昇が続く場合や視野障害の進行が速い場合など、その他の緑内障手術が必要な場合には連携施設での手術をお勧めする場合もあります。