
近視
近視
「近視」とは、目の屈折異常の一つで、遠くの物を見るときに焦点が網膜よりも手前に合ってしまい、遠くがぼやけて見える状態を指します。
下の図に示すように、近視のある目は“目の長さ”が長くなり、焦点が網膜より前にあってしまっていることが原因でぼやけています。
そのため、この屈折を矯正し、網膜上に焦点を合わせることで見えるようにしているのがメガネであり、コンタクトレンズであり、LASIKであったりします。
「近視が進行する」というのは「眼軸長(目の長さ)が長くなる」ことになります。
では、近視にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
まず、近視が進行すると裸眼視力が下がり、メガネなどがないと生活しづらく、強度近視となるとさらにQOL(生活の質)に影響します。
また疾患的な側面としては、短期的なリスクは高くありませんが、長期的には緑内障や網膜剥離などが発症するリスクが高くなると考えられています。
近視は7歳から12歳と小学校の時期に著しく進行し、18歳頃まで緩やかに続くとされています。
特に“低年齢での近視の発症”や“”年間進行度の早い症例“などでは将来的に強度近視になるため注意が必要であるとされています。
以下の図は、近視がある小児の各年代における年間進行度を示しています。低年齢で特に近視の進行量が多く、年齢の増加とともに近視の進行量も少なくなることがわかります。
(引用元:松村沙衣子, あたらしい眼科40(2)2023)
このようなことから近視進行度の予測は、受診時の近視の度数だけではなく、年齢を加味したうえでの平均進行度と自身の近視の進行度の比較が重要となると考えられます。
近視の進行には遺伝的要因と環境要因があると考えられています。
遺伝的要因としては、両親に近視がある場合に子供はより近視になりやすいことがわかっています。また環境因子としては、「近くをみる時間が長い、またその距離が近いと近視になりやすい」ことや、「屋外活動が多いと近視になりにくいこと」などが報告されております。
“将来の強度近視の合併症リスクを減らすため”や”近視の強い親が子供に同じ思いをさせたくない“などの思いから、小児の近視進行予防に対する質問が患者さんから多く寄せられます。そこで当院では、近視専門外来(松村先生)を設立し、近視の進行に関する相談や、実際の治療などを行っております。
ただ近視進行予防治療は新しい分野であり、経済的負担を伴う自由診療であることから、正確なエビデンスに基づいた治療を提供し、患者や保護者との信頼関係を構築することが非常に重要と考えていますので、まずは外来にて不安なことや心配なことをご相談ください。
当院で行っている近視抑制治療は低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー、多焦点コンタクトレンズになります(本邦未承認治療)。それぞれ臨床研究で近視抑制の有効性が認められています。
ムスカリン受容体への拮抗作用で、レンズを調節する毛様体の緊張をとることを目的にした低濃度のアトロピン点眼で0.01%と0.025%があります。
日常生活で副作用がほとんどなく、低年齢から使用が可能です。
特殊な高酸素透過性の専用ハードコンタクトレンズを夜寝る前につけることで、就寝中に角膜の形を変化させ、裸眼視力を矯正する治療法です。
片眼82,500円、両眼165,000円(税込)
遠用の球面度数に近用の加入度数が付加された大人の老眼のための遠近両用コンタクトレンズとして使用されているレンズです。
強い度数の近視にも適応があります。
一箱32枚入り:4,200円
低濃度アトロピン点眼 |
オルソケラトロジー |
多焦点ソフトコンタクトレンズ |
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対象年齢 |
低年齢から |
小学生1年生から(保護者が装用) |
小学校高学年から(自分で装用) |
特徴 |
夜一回寝る前に点眼する治療法 |
就寝時にハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形を変化させ、裸眼視力を矯正する治療法 |
遠用の球面度数に近用の加入度数が付加された老視矯正のための使い捨て遠近両用ソフトコンタクトレンズを日中に装用する治療法 |
メリット |
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デメリット |
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