近視
近視
子どもの近視は、成長とともに眼軸長(目の奥行き)が伸びることで進行することが多く、特に小学生から中学生にかけて進みやすいことがわかっています。
近視を完全に止める治療はありませんが、現在は近視の進行をゆるやかにするためのいくつかの方法があります。
当院では、
などから、お子さまの年齢、近視の程度、進み方、生活スタイルに合わせて治療を選択しています。
近視とは、遠くを見たときに光の焦点が網膜より手前に合ってしまい、遠くのものがぼやけて見える状態です。
子どもの近視の多くでは、成長とともに眼球の前後の長さである「眼軸長」が伸びることが近視進行の大きな原因になります。
眼鏡やコンタクトレンズは、ピントを網膜上に合わせることで見え方を良くします。

近視が強くなると、眼鏡やコンタクトレンズなしでは生活しにくくなるだけではありません。
眼軸長が長くなり近視が強くなるほど、将来的に
などの眼疾患のリスクが高くなることが知られています。
そのため近視進行抑制治療の目的は、今ある近視を治すことではなく、成長期の近視の進み方をできるだけゆるやかにすることです。
少しでも最終的な近視度数や眼軸長を抑えることが、将来の目の健康につながると考えられています。
近視は特に学童期に進みやすく、低年齢で近視になったお子さまほど、その後強い近視になる可能性があります。
また、
といった場合には、近視の進行に注意が必要です。
当院では、近視の度数だけでなく、眼軸長を定期的に測定して近視の進み方を評価することを大切にしています。
ミヨスマートは、普段の眼鏡と同じように日中装用する近視管理用眼鏡レンズです。
レンズの中央では通常の眼鏡と同じように遠くを見えるようにし、その周囲には「DIMS」と呼ばれる特殊な構造が配置されています。この構造によって網膜に近視性デフォーカスを与え、眼軸長の伸びを抑えることを目的としています。
【ミヨスマートのレンズ構造図】
通常の眼鏡と同じように使用できるため、
というお子さまにも選びやすい方法です。
2年間のランダム化比較試験では、8~13歳の小児において通常の単焦点眼鏡と比較し、近視進行を約52%、眼軸長の伸びを約62%抑制したと報告されています。
日本眼科学会に掲載された近視管理用眼鏡ガイドラインでも、MiYOSMARTは近視管理用眼鏡として取り上げられています。臨床試験では5~18歳が対象となっており、5歳未満への使用は推奨されていません。
ミヨスマートは、短時間だけ使用する眼鏡ではありません。近視進行抑制効果を期待するためには、基本的に日中はできるだけ長く、終日装用することが重要です。
また、フレームのずれやレンズの中心位置も重要なため、適切なフィッティングと定期的な調整が必要です。
リジュセアミニ点眼液0.025%は、近視進行抑制を目的として国内で承認された低濃度アトロピン点眼薬です。2024年12月に、日本で初めて「近視の進行抑制」を効能・効果として承認されました。
基本的には1日1回、就寝前に点眼します。点眼するだけなので低年齢のお子さまでも導入しやすく、眼鏡と併用することもできます。

低濃度ですがアトロピンには瞳孔を開く作用があるため、
などが生じることがあります。多くは軽度ですが、症状を確認しながら定期的に診察します。
日本近視学会の手引きでは、開始後1週~1か月、その後は3~6か月ごとの経過観察が示されています。
オルソケラトロジーは、寝ている間に特殊なハードコンタクトレンズを装用する治療です。
睡眠中に角膜の形を一時的に変化させることで、朝レンズを外したあとも日中裸眼で過ごすことができます。
近視を矯正するだけでなく、眼軸長の伸びを抑え、近視の進行を抑制する効果も多くの臨床研究で報告されています。日本眼科学会の近視管理用眼鏡ガイドラインでも、近視進行抑制効果が示されている治療法の一つとして挙げられています。
毎晩レンズを使用するため、正しいレンズケアが非常に重要です。ケアが不十分な場合には角膜感染症などを起こす可能性があります。
特に低年齢のお子さまでは、保護者の方に装着・取り外しやレンズ管理を行っていただきます。
MiSight 1 dayは、近視の視力補正と近視進行抑制を同時に行う1日使い捨てソフトコンタクトレンズです。日本では2025年に近視進行抑制を目的としたソフトコンタクトレンズとして初めて承認され、2026年2月から発売されています。
レンズの中に視力を矯正する部分と近視性デフォーカスを作る部分が配置されています。
3年間の臨床試験では通常の単焦点ソフトコンタクトレンズと比較し、近視進行を約59%、眼軸長の伸びを約52%抑制したと報告されています。
といった場合に良い選択肢です。
国内添付文書では8歳未満および13歳以上を対象とした臨床試験は実施されていないため、年齢や近視の程度、コンタクトレンズを安全に管理できるかを確認して適応を判断します。
|
ミヨスマート |
リジュセア |
オルソケラトロジー |
MiSight |
|
|---|---|---|---|---|
|
方法 |
眼鏡 |
点眼 |
夜間ハードCL |
日中ワンデーCL |
|
視力矯正 |
◎ |
× |
◎ |
◎ |
|
日中の眼鏡 |
必要 |
必要な場合あり |
原則不要 |
不要 |
|
始めやすさ |
◎ | ◎ | ○ | ○ |
|
コンタクト管理 |
不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
|
主なメリット |
普通の眼鏡に近い | 1日1回の点眼 | 日中裸眼 | 1dayで衛生的 |
|
主な注意点 |
長時間装用・フィッティング | 羞明・近見障害 | 感染・レンズケア | 感染・装脱が必要 |
「どの治療が一番強いか」という単純な比較はできません。
それぞれの研究では対象年齢や近視度数、観察期間などが異なるため、抑制率の数字だけを横並びにして治療を選ぶことは適切ではありません。
お子さま本人が無理なく長期間続けられる方法を選ぶことが重要です。
近視進行抑制治療では、治療を始めること以上に、その治療が実際に効いているかを確認することが重要です。
当院では、視力だけでなく、近視度数と眼軸長を定期的に測定し、近視の進行速度を確認します。
進行が十分に抑えられていない場合には、
などを検討します。
低濃度アトロピンについても、日本近視学会の手引きでは、効果が不十分な場合に治療の切り替えや併用療法を検討する考え方が示されています。
治療だけでなく生活習慣も大切です。特に、
ことを心がけましょう。
近視の眼鏡をあえて弱くしたり、必要なのに眼鏡をかけないことで近視を抑えられるとは考えられていません。近視管理用眼鏡のガイドラインでも、低矯正を避け適切に矯正することが推奨されています。
近視の進み方は一人ひとり違います。特に、
という場合には、一度ご相談ください。
当院では、年齢、近視度数、眼軸長、生活スタイルなどを確認したうえで、お子さまに無理なく続けられる近視進行抑制治療をご提案します。
※近視進行抑制治療は、近視を治したり、必ず進行を止めたりする治療ではありません。治療効果には個人差があります。
※治療内容によっては自由診療となります。詳しくは受診時にご確認ください。